事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説

事業再構築補助金は中小企業でも活用できるのか気になっている方もいるでしょう。

本記事では、事業再構築補助金を中小企業で活用する方法を詳しく解説し、採択事例も紹介しています。特に新型コロナウイルスの影響で売上が減少し、事業再構築の必要に迫られている中小企業の方々は、事業再構築補助金を有効に活用して下さい。

目次
  1. 1. 中小企業は事業再構築補助金を活用できる
  2. 2. 中小企業とは?
    1. 2-1. 資本金または従業員数の条件
    2. 2-2. 中小企業以外の法人
    3. 2-3. 大企業と見なされる場合は?
  3. 3. 中小企業が事業再構築補助金を申請するメリット
    1. 3-1. 大きな金額の補助が受けられる
    2. 3-2. コロナ禍による業績悪化からの回復が期待できる
    3. 3-3. 設備投資ができる
    4. 3-4. 新規事業の開始が望める
  4. 4. 中小企業が事業再構築補助金を申請する際の注意点
    1. 4-1. 審査がある
    2. 4-2. 手続きが煩雑
    3. 4-3. 補助金は後払い
    4. 4-4. 補助金の受給後にも報告が必要
  5. 5. 中小企業が事業再構築補助金を申請するための要件
    1. 5-1. 事業再構築の実施
    2. 5-2. 認定経営革新等支援機関に相談
    3. 5-3. 事業計画の策定
  6. 6. 中小企業の事業再構築補助金の補助金額と補助率
    1. 6-1. 事業再構築補助金の金額は従業員数で決まる
    2. 6-2. 補助率は中小企業か中堅企業かによる
  7. 7. 中小企業が対象の事業再構築補助金の申請枠
    1. 7-1. 成長枠
    2. 7-2. グリーン成長枠
    3. 7-3. 卒業促進枠
  8. 8. 事業再構築補助金の申請方法
    1. 8-1. 事前確認
    2. 8-2. 必要書類の用意
    3. 8-3. 交付申請の手続き
    4. 8-4. 採択・不採択の決定
    5. 8-5. 補助事業の実施
    6. 8-6. 実績の報告
    7. 8-7. 清算払請求
    8. 8-8. 事業化状況報告
  9. 9. 事業再構築補助金の活用事例
    1. 9-1. 新分野の展開
    2. 9-2. 事業の転換
    3. 9-3. 業種の転換
    4. 9-4. 業態の転換
    5. 9-5. 事業の再編
  10. 10. その他の中小企業が利用できる補助金・助成金
    1. 10-1. ものづくり補助金
    2. 10-2. IT導入補助金
    3. 10-3. Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)
    4. 10-4. JAPANブランド育成支援等事業
    5. 10-5. 事業承継・引継ぎ補助金
    6. 10-6. 小規模事業者持続化補助金
    7. 10-7. 事業復活支援金
    8. 10-8. 雇用調整助成金
    9. 10-9. キャリアアップ助成金
    10. 10-10. 両立支援助成金
    11. 10-11. 働き方改革推進支援助成金
    12. 10-12. 人材確保等支援助成金
  11. 11. 【まとめ】中小企業の事業再構築補助金活用方法を紹介しました

中小企業は事業再構築補助金を活用できる

中小企業は事業再構築補助金を活用できます。元々、事業再構築補助金は業績の悪化に苦しむ中小企業を支援することが目的で設立されました。ただし、自社が中小企業に該当するかどうか分からない経営者の方もいるでしょう。

本記事では、中小企業の定義も記載しているので参考にして下さい。

中小企業とは?

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_6

資本金または従業員数の条件

事業再構築補助金において中小企業と認定される条件は、中小企業基本法で規定されている条件と同じです。業種ごとに中小企業となる条件が決められており、資本金または出資の総額と、常時使用する従業員数の規定があります。中小企業庁が公開している中小企業の条件は、下表のとおりです。

業種

資本金または出資の総額

常時使用する従業員数

製造業・建設業・運輸業

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

小売業

5,000万円以下

50人以下

その他の業種

3億円以下

300人以下

引用:中小企業庁

中小企業以外の法人

中小企業以外の法人としては、中堅企業・大企業・みなし大企業などがあります。このうち、中堅企業は事業再構築補助金の対象に含まれます。中堅企業の定義は、中小企業に含まれない企業のうち、資本金10億円未満の企業です。

大企業と見なされる場合は?

大企業の子会社である、いわゆる「みなし大企業」は、補助の対象外です。たとえ従業員数が少なくても、資本金が少なくても、事業再構築補助金の対象とはならないので注意しましょう。

中小企業が事業再構築補助金を申請するメリット

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_1

大きな金額の補助が受けられる

事業再構築補助金を申請すると、大きな金額の補助が受けられることがメリットです。金額は数千万円以上になり、中小企業にとっては決して少なくない金額の補助が受けられます。補助される金額は事業再構築補助金の申請枠によって変わりますが、詳細については後ほど解説します。

コロナ禍による業績悪化からの回復が期待できる

新型コロナウイルスの影響を受けて業績が悪化してしまった中小企業は全国に数多く存在しています。事業再構築補助金は、国がコロナ禍による業績不振に陥った企業を支援する制度です。中小企業に活力を取り戻してもらい、国内経済を再び活性化させる目的があります。中小企業にとって、業績悪化からの回復が期待できる効果的な補助金です。

設備投資ができる

事業再構築補助金は、中小企業に事業の成長を促す補助金でもあります。事業の成長に欠かせないものの1つが、積極的な設備投資です。国は、通常時には資金的に厳しい状況であることの多い中小企業に設備投資をしてもらって、生産力を向上してもらう狙いがあります。中小企業にとっても、資金的に余裕ができて設備投資ができる貴重な機会になるでしょう。

新規事業の開始が望める

設備投資とともに中小企業の成長を促進させる活動の1つが、新規事業の開始です。近年では、特にIT関連技術を応用した新規事業を開始する中小企業が増えています。市場のニーズも変化してきているので、積み重ねてきたノウハウが思わぬ形で活かせる可能性もあります。事業再構築補助金を上手く活用すれば、経営者が長年構想を温めていた新規事業の開始も望めるでしょう。

中小企業が事業再構築補助金を申請する際の注意点

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_3

審査がある

事業再構築補助金の注意点の1つは、審査があることです。事業計画書や金融機関の確認書などとともに申請しますが、審査を経て採択されなければ補助金を受け取れません。独力で審査に通過することはできないので、認定支援機関に相談するとともに、十分な準備が必要です。

手続きが煩雑

事業再構築補助金は、手続きが煩雑なことにも要注意です。事業計画書や金融機関の確認書など、多くの書類の提出を求められます。申請の準備として書類を作成したり、認定支援機関のサポートを受けるなど、さまざまな手続きが必要です。ただし、事業再構築補助金はインターネットを通じて申請を行うシステムなので、手続き自体に移動などの距離的な負担を強いられることはありません

補助金は後払い

事業再構築補助金で見逃せない注意点の1つは、補助金が後払いであるという点です。業績が悪化して資金繰りに苦しむ中小企業であっても、補助金を受け取る前に申請対象事業を遂行しなければなりません。また、申請対象の事業を遂行中にも、実績の進捗を中間報告しなければならないことも念頭に置いておきましょう。

補助金の受給後にも報告が必要

事業再構築補助金は、補助金の受給後に報告が必要な点にも注意が必要です。補助金を受け取って終わりというものではなく、申請対象の事業が補助金を確実に活用できているかどうかを報告しなければなりません。報告の対象となるのは、事業計画書に記載した数値目標で、実際に売上が向上したかどうかや、従業員の賃金が増えたかどうかなどを精査されます。

中小企業が事業再構築補助金を申請するための要件

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_4

事業再構築の実施

中小企業が事業再構築補助金を申請し、実際に補助金を受け取るための要件の1つが、事業再構築の実施です。事業再構築には、悪化した業績を回復するためのさまざまな施策があります。事業再構築の具体的な内容は、中小企業庁が発行した事業再構築指針に記載されています。

事業再構築として実施する内容には、新市場進出・事業転換・業種転換・事業再編などがあります。事業再構築を実施する際には、売上の向上や従業員の賃金上乗せなど、具体的な数値目標を立てて事業計画書に記載しなければなりません

認定経営革新等支援機関に相談

中小企業が事業再構築補助金を申請するための要件の1つは、「認定経営革新等支援機関」に相談することです。認定経営革新等支援機関とは、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための機関です。税務・金融・企業財務に関する専門的知識や支援に関する実務経験が一定レベル以上ある個人・法人・中小企業支援機関などが、経営革新等支援機関として認定されています。

認定支援機関には、事業計画書の作成に関するアドバイスが受けられます。ただし、事業計画書の作成はあくまでも事業者自身で行わなければなりません。

事業計画の策定

中小企業が事業再構築補助金を申請するための要件の1つに、事業計画の策定があります。事業計画とは、補助金を受け取るまでに自社の業績を回復させる具体的な道筋を示すものです。事業計画は、事業計画書という書類を作成して提出し、事業再構築補助金の事務局の審査を受けるために必要です。

中小企業の事業再構築補助金の補助金額と補助率

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_7

事業再構築補助金の金額は従業員数で決まる

中小企業が事業再構築補助金の給付を受ける際の金額は、企業の従業員数によって決まります。具体的な金額は事業再構築補助金リーフレットに詳しく記載されており、事業再構築補助金の申請枠によって異なります。

補助率は中小企業か中堅企業かによる

事業再構築補助金の補助率は、金額とは異なり、申請する企業が中小企業か中堅企業かによって決まります。中小企業の定義は、資本金または出資の総額と、常時使用する従業員数の規定があり、業種によって異なります。一方で中堅企業とは、中小企業と大企業の中間に位置する企業です。

中小企業が対象の事業再構築補助金の申請枠

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_2

成長枠

事業再構築補助金の成長枠とは、今後成長が見込まれる業種や分野を対象に、思い切った事業再構築に取り組む事業者を対象とした申請枠です。成長枠には、対象となり得る事業者の条件や業種・業態があります。補助金の上限額は従業員数によって決められています。

成長枠の対象となる事業者の要件

成長枠の対象となる事業者の必須要件は、以下の4つがあります。

  1. 事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%以上増加、 又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%以上増加の達成。
  3. 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること。
  4. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。

1つ目と2つ目の要件は、すべての申請枠に適用される必須要件です。3つ目の要件で求められる業種・業態は、事業再構築補助金の事務局が指定してリストアップしており、毎年更新されます。4つ目の要件については、付加価値額の年率平均4.0%以上増加も求められます。

成長枠の対象となる業種・業態

事業再構築補助金の成長枠には、対象となる業種・業態が存在しています。事業再構築補助金の事務局が公開している「成長枠対象業種・業態リスト」によると、3種類の団体が対象業種・業態を指定しています。

1つは経済産業省「工業統計調査」で、2つ目は経済産業省「企業活動基本調査」を基に、要件を満たすとされる業種です。3つ目は、業界団体等が要件を満たすことについて示した業種・業態です。

成長枠の補助上限金額と補助率

成長枠では、従業員数によって下表のように補助金の上限額が規定されており、最大7,000万円までの支援を受けられます。成長枠での補助率は、中小企業においては一律で1/2です。ただし、大規模な賃上げを行う場合は補助率が2/3まで引き上げられます。

従業員数

補助上限額

20人以下

2,000万円

21人~50人

4,000万円

51人~100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

グリーン成長枠

事業再構築補助金のグリーン成長枠とは、通常の成長枠とは別で設けられている申請枠です。成長枠と違う点は、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用して成長を目指す企業を支援している点です。グリーン成長枠には「エントリー」と「スタンダード」の2種類の枠があります。

グリーン成長枠の補助上限額と補助率

グリーン成長枠の補助金の上限額は下表のとおりです。エントリーでは従業員数で規定されており、スタンダードでは従業員数による区分けはありません。補助率は成長枠と同じ1/2で、同様に大規模な賃上げを行う場合は2/3にまで引き上げられます。

 

従業員数

補助上限額

エントリー

20人以下

4,000万円

21人~50人

6,000万円

51人以上

8,000万円

スタンダード

不問

1億円

グリーン成長枠の事例

グリーン成長枠はまだ事例が少ないこともあって、中小企業庁からグリーン成長枠の想定事例が公開されています。想定事例によると、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて14の重要分野が選定されています。

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_5

引用:中小企業庁「グリーン成長枠の想定事例|活用イメージ集」

卒業促進枠

卒業促進枠とは、中小企業から中堅企業へと成長を目指す企業を支援するための申請枠です。卒業促進枠に申請するためには、同一の公募回に成長枠かグリーン成長枠のいずれかに申請する必要があります。

さらに、成長枠またはグリーン成長枠の対象事業が完了したのちに、3~5年で中堅企業・特定事業者・大企業のいずれかに成長を遂げることも求められます。卒業促進枠の補助上限額の規定は成長枠・グリーン成長枠と同じで、補助率は中小企業の場合は1/2です。

事業再構築補助金の申請方法

事業再構築補助金の申請は、以下のような手順で行います。

  1. 事前確認
  2. 必要書類の用意
  3. 交付申請の手続き
  4. 採択・不採択の決定
  5. 補助事業の実施
  6. 実績の報告
  7. 清算払請求
  8. 事業化状況報告

事前確認

中小企業の事業再構築補助金の申請において最初に必要なことは、申請に必要な情報の事前確認です。事業再構築補助金の公式サイトのトップページに、公募スケジュールや関連ニュースなどが公開されています。定期的に最新情報をチェックして、計画的に申請できるようにしておきましょう。

また、事業再構築補助金の申請はインターネットを通じてしか行えません。事業再構築補助金の事務局では、補助金の申請専用のWebサイト「jGrants」を用意しています。jGrantsを利用するためには専用の「GビズID」とパスワードが必要です。

必要書類の用意

中小企業が事業再構築補助金の申請を行う場合は、事業計画書が必要です。事業計画書の作成には高度な知識が求められるので、認定支援機関のサポートを受けるとよいでしょう。ただし、事業計画書の作成は事業者自身で行わなければなりません。また、3,000万円以上の補助金を受け取る場合は、金融機関の確認書も必要です。

交付申請の手続き

事業再構築補助金の申請は、インターネットを通じて行う電子申請のみ有効です。郵送では申請できないので注意しましょう。事業再構築補助金の事務局では、概ね1年に3回の申請受付を行っています。

採択・不採択の決定

事業再構築補助金は、申請するだけでは補助金は支給されません。事業再構築補助金の事務局が申請を受け付け、審査によって採択されて初めて補助金の受給資格を得られます。事業再構築補助金の公式サイトで過去の採択事例が公開されているので、参考にするとよいでしょう。

補助事業の実施

中小企業が事業再構築補助金の採択を受けた場合は、補助対象となる事業の実施を開始します。事業の実施は、事業計画書に記載したとおりに行いましょう。場合によっては、事業再構築補助金の事務局から進捗の報告を求められることがあります。

実績の報告

事業計画書の記載のとおりに補助事業が完了したら、事業再構築補助金の事務局へ実績を報告します。報告を受けた事務局は、補助対象事業が計画どおりに遂行されているかどうかを検査します。確定検査が完了すると、ようやく補助金の金額が確定です。

清算払請求

確定検査と補助金の金額確定が完了すると、事業者は事業再構築補助金の請求が可能になり、清算払請求という手続きを行えます。精算払請求を受け付けた事務局は、請求に不備がないかを確認。請求が認可されれば、事業者の指定する口座に補助金が振り込まれます。

事業化状況報告

事業再構築補助金は、中小企業が補助金を受け取ってからも事業化状況の報告をしなければなりません。補助事業終了後5年間は、事業再構築補助金の事務局に対して年次報告が必要です。年次報告を怠ると、支給された補助金の返還を求められるので注意しましょう。

事業再構築補助金の活用事例

事業再構築補助金は中小企業も対象!活用事例や申請方法などを解説_8

新分野の展開

ドライブレコーダーなどの車載製品を製造していた中小企業が、新型コロナウイルスの影響で売上が減少してしまいました。精密な技術が求められる小型カメラ製造のノウハウを活かせる新分野を模索したところ、医療分野で応用できることを発見。製品・市場ともに新規性を満たしており、医療分野の成長が総売上高の10%以上となる成長性も認められ、事業再構築補助金の採択を受けられました。

事業の転換

観光バス事業を展開していた中小企業が、新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が大きく落ち込み、売上が激減してしまいました。大型二種免許という国家資格と、ベテランドライバーの経験を活かせる事業を模索したところ、高齢者施設向け送迎バスに応用できることを発見。高齢化社会の進行もあってニーズが増えているため、事業再構築補助金の採択を受けられました。

業種の転換

農業機械のリース事業を展開していた中小企業が、新型コロナウイルスの影響で利用者が激減したために売上が減少してしまいました。農業の担い手が年々減っていることも考慮し、思い切った業種転換を模索。近年のロボット技術の急激な進歩に着目し、ドローンの操作を通信教育で指導するビジネスへの業種転換を決意します。製品・市場ともに新規性が高く、事業再構築補助金の採択を受けられました。

業態の転換

アパレルショップを経営していた中小企業が、新型コロナウイルスの影響によって実店舗への来店客が激減し、売上が減少してしまいました。コロナ禍が長引いて、以前のような実店舗のみによる販売は厳しいと判断し、業態の転換を決意。ECサイトや注文管理システムの構築、店頭販売からの誘導などにより、ネット販売を新たに開始します。ECサイトからの売上が総売上高の10%以上を見込めるため、事業再構築補助金の採択を受けられました。

事業の再編

事業再編の事例はさまざまな形がありますが、今回は新分野展開の事例です。オフィス街でビジネスマン向けに弁当を販売していた中小企業が、新型コロナウイルスの影響でテレワークが増えたため売上が激減。同業者との合併や吸収を行い、販売対象も病院向けの給食など施設給食業へと新分野展開します。会社法上の組織再編行為を行ったことが認められ、事業再構築補助金の採択を受けられました。

その他の中小企業が利用できる補助金・助成金

本項では、事業再構築補助金の他に中小企業が利用できる、以下の補助金・助成金を紹介します。

  1. ものづくり補助金
  2. IT導入補助金
  3. Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)
  4. JAPANブランド育成支援等事業
  5. 事業承継・引継ぎ補助金
  6. 小規模事業者持続化補助金
  7. 事業復活支援金
  8. 雇用調整助成金
  9. キャリアアップ助成金
  10. 両立支援助成金
  11. 働き方改革推進支援助成金
  12. 人材確保等支援助成金

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業がものづくりに関する設備投資や人材育成などを行う際に、国から一定の補助を受けられる制度です。ものづくり補助金は、生産性向上を実現するための革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資支援を目的としています。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。ITツールとは、パッケージソフトの本体費用、クラウドサービスの導入・初期費用等を指します。IT導入補助金は、ITツールの導入による生産性の向上や業務効率化のほか、売上の向上を目的としています。

Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)

Go-Tech事業とは、中小企業が大学や公設試験研究機関と連携して行う研究開発、試作品開発及び販路開拓への取組を支援する補助事業です。Go-Tech事業は、成長型中小企業等研究開発支援事業の1つで、有効期間は最大3年間です。中小企業が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援するIT導入補助金と同様に、中小企業の生産性向上を目的としています。

JAPANブランド育成支援等事業

JAPANブランド育成支援等事業は、中小企業の海外展開や全国展開を支援する制度です。新商品・サービスの開発・改良、ブランディング、新規販路開拓等の取組を行う場合に、経費の一部を補助してもらえます。JAPANブランド育成支援等事業は、地域中小企業の域外需要の獲得を図ることが目的です。また、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興への寄与も期待できます。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業が事業承継、事業再編・事業統合を契機に経営革新等を行うために必要な経費の一部を補助する制度です。事業再編、事業統合にともなう経営資源の引継ぎに要する経費の一部を補助します。事業承継、事業再編・事業統合を促進し、国内経済の活性化を図る目的もあります。

事業承継・引継ぎ補助金は、公募によって交付されます。公募要領は毎年度公表され、内容は応募資格や交付対象経費、交付額などです。2024年1月9日に8次公募の公募要領が開示され、交付申請の受付が開始されました。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、経営計画を作成し、販路開拓の取組み等の経費の一部を補助する制度です。補助対象者は、業種・人数・資本金・課税所得・課税所得年平均額・商工会管轄地域などの条件を満たすことで、採択を受けられます。補助率・補助上限額・申請方法などの詳細は、商工会議所の管轄地域で事業を営む小規模事業者等が対象で、毎年度公表される公募要領を確認する必要があります。

事業復活支援金

事業復活支援金とは、中小企業に対して事業の継続及び立て直しのための取組を支援する制度です。新型コロナウイルス感染症の拡大や長期化に伴う需要の減少、または供給の制約により売上が減少した企業に対して、事業規模に応じた事業復活支援金を給付します。2022年1月31日から6月17日までの期間において、8次公募が行われました。

事業復活支援金は、最大で250万円までの支援金を受け取ることが可能です。申請要領は毎年度公表され、応募資格や交付対象経費、交付額等が明示されています。事業復活支援金の申請には、所得税または法人税を計算の上、収入に計上してもらう必要があります。

雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業を支援する制度です。事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)の実施によって、従業員の雇用を維持するために、休業・教育訓練・出向に要した費用を助成してもらえます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成金制度です。この制度は、正社員化、処遇改善、賃金規定等、賞与・退職金制度導入などのコースに分けられ、助成金の申請方法や条件、賃金の支払いなどについて公式サイトで詳しく説明されています。

両立支援助成金

両立支援助成金とは、従業員が働きながら育児や介護との両立を行える制度を導入したり、女性の活躍推進のための取り組みを行う事業主に金銭的な支援をする制度です。具体的には、出産・育児休業・介護休業などを取得する従業員に対して、一定期間にわたって一定額の給付金を支給します。

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、中小企業が労働時間の短縮や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に必要な費用の一部を国が助成する制度です。生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援します。助成金の支給対象となる中小企業事業主は、労働者災害補償保険の適用事業主です。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金とは、労働環境の向上等を図る中小企業に対して助成する制度です。魅力ある職場づくりを目指し、雇用創出を促進することで、人材の確保・定着を目的としています。人材確保等支援助成金には、雇用管理制度助成コース・介護福祉機器助成コース・中小企業団体助成コースなどがあります。

【まとめ】中小企業の事業再構築補助金活用方法を紹介しました

中小企業が事業再構築補助金の申請を活用するには、業種ごとに中小企業の定義が異なる点を理解しておく必要があります。また、新規事業の展開や業種転換・業態転換などいくつかの選択肢があるので、自社にあった手段を選ぶことが採択への近道です。補助金を受給するためには、採択された後も事業計画書の記載のとおりに事業を遂行する必要があります。事業再構築補助金を有効に活用して、業績の回復につなげて下さい。