1,000万円規模の補助金・助成金を紹介!概要や対象者、上限額は?
申請する補助金を検討する際に、注目する指標の1つが補助金額かと思います。
本記事では、1,000万円規模の補助金や助成金を紹介します。本記事を読めば、1,000万円規模の補助金にどんなものがあるか理解でき、自社にあった補助金を見つけるヒントになりますので、ぜひご覧ください。
※執筆時点の情報です。補助金の申請にあたっては最新の情報をお調べください。
補助金・助成金の違い
自社にあった支援を受けるために、まずは補助金・助成金の違いを理解しておきましょう。
補助金と助成金は、両者とも国や地方自治体などが特定の活動や事業の支援を目的として支給する資金です。ただし、給付額や支給条件、公募期間などに違いがあります。違いを表にまとめると、以下の通りです。
項目 |
補助金 |
助成金 |
主な管轄 |
経済産業省 |
厚生労働省 |
給付額 |
数百万〜数億円 |
数十万〜数百万円 |
支給条件 |
審査で採択される 必要がある |
要件を満たせば 原則支給される |
公募期間 |
一定期間のみ |
通年 |
補助金と助成金以外にも「交付金」や「支援金」など、混同しやすい単語が存在しています。制度の違いを理解しておきたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:補助金と助成金の違いは?目的や支給額などの仕組みを解説
支援規模1,000万円の補助金
まずは、支援規模1,000万円の補助金の補助額や対象者などを紹介します。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業等による革新的サービスの開発や、試作品開発の改善を行うための設備投資に対してサポートするための制度です。果樹園による急速冷凍機の導入や、寝具店が寝心地を計測するセンサーの導入などの活用事例があります。
補助額・補助率
まずは16次公募の内容を参考に紹介します。ものづくり補助金の補助額・補助率は下表の通りです。
補助額 |
100万〜4,000万円 |
補助率 |
1/2〜2/3 |
ものづくり補助金では、申請要件別に複数の枠が用意されています。枠別の補助額・補助率は下表の通りです。
枠 |
補助額 |
補助率 |
通常枠 |
100万~1,250万円 |
1/2 ※小規模事業者または 再生事業者は2/3 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 |
100万~1,250万円 |
2/3 |
デジタル枠 |
100万~1,250万円 |
2/3 |
グリーン枠 |
100万~4,000万円 |
2/3 |
グローバル市場開拓枠 |
100万~3,000万円 |
1/2 ※小規模事業者または 再生事業者は2/3 |
また、17次公募では、新たに「省力化(オーダーメイド枠)」や「製品・サービス高付加価値化枠」が追加されました。17次公募におけるものづくり補助金の補助額・補助率は下表の通りです。
補助額 |
100万〜8,000万(1億)円 ※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 |
補助率 |
1/3〜2/3 |
枠別の補助額・補助率は下表の通りとなります。
枠 |
補助額 ※カッコ内は 大幅賃上げを行う場合 |
補助率 |
省力化 (オーダーメイド)枠 |
100万~8,000万円 (上限から最大2,000万円引き上げ)
|
1/2 ※小規模事業者または再生事業者:2/3 ※補助金額1,500万円までは1/2、 1,500万円を超える部分は1/3 |
製品・ サービス高付加価値化枠 通常類型 |
100万~1,250万円 (上限から最大1,000万円引き上げ)
|
1/2 ※小規模事業者または再生事業者:2/3 ※新型コロナ加速化特例:2/3 |
製品・ サービス高付加価値化枠 成長分野進出類型 (DX・GX) |
100万~2,500万円 (上限から最大1,000万円引き上げ)
|
2/3 |
グローバル枠 |
100万〜3,000万円 (上限から最大1,000万円引き上げ)
|
1/2 ※小規模事業者:2/3 |
補助対象者
補助対象者は、中小企業者や小規模事業者などです。
中小企業者とは、資本金または常勤従業員数が下表の数字以下となる会社または個人と定義しています。
業種 |
資本金 |
常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業、旅行業 |
3億円 |
300人 |
卸売業 |
1億円 |
100人 |
サービス業(※1) |
5,000万円 |
100人 |
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ゴム製品製造業(※2) |
3億円 |
900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
※2 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く
小規模事業者とは、常勤従業員数が下表の数字となる者と定義しています。
業種 |
常勤従業員数 |
製造業その他 |
20人以下の会社及び個人事業主 |
商業・サービス業 |
5人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業(※1) |
20人以下の会社及び個人事業主 |
対象経費
補助対象経費は、主に下表の通りです。
補助対象経費 |
詳細 |
機械装置・システム構築費 |
1.専ら補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具 (測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等) の購入、製作、借用に要する経費 2. 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア ・情報システムの購入・構築、借用に要する経費 3.1.若しくは2.と一体で行う、改良・修繕又は据付けに要する経費 |
運搬費 |
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費 |
技術導入費 |
本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費 |
知的財産権等関連経費 |
新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の 知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用、外国特許出願の ための翻訳料等の知的財産権等取得に関連する経費 |
外注費 |
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の 一部を外注(請負、委託等)する場合の経費 |
専門家経費 |
本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費 |
クラウドサービス利用費 |
クラウドサービスの利用に関する経費 |
原材料費 |
試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費 |
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業等による新分野展開や業態転換、事業・業種転換などをサポートするための制度です。ハイブリッド車向け部品製造の新分野展開や、レストランから飲食料品小売業への業態転換などの活用事例があります。
補助額・補助率
事業再構築補助金の補助額・補助率は下表の通りです。
補助額 |
100万〜1.5億円 |
補助率 |
1/3〜3/4 |
事業再構築補助金では、申請要件別に複数の枠が用意されています。枠別の補助額・補助率は下表の通りです。
枠 |
補助額 |
補助率 |
成長枠 |
中小企業者等、 中堅企業等ともに 100万~7,000万円 |
中小企業者等:1/2 ※大規模な賃上げを実施する場合:2/3 中堅企業等:1/2 ※大規模な賃上げを実施する場合:1/2 |
グリーン成長枠 (エントリー) |
中小企業者等: 100万~8,000万円 中堅企業等: 100万~1億円 |
中小企業者等:1/2 ※大規模な賃上げを実施する場合:2/3 中堅企業等:1/3 ※大規模な賃上げを実施する場合:1/2 |
グリーン成長枠 (スタンダード) |
中小企業者等: 100万~1億円 中堅企業等: 100万~1.5億円 |
中小企業者等:1/2 ※大規模な賃上げを実施する場合:2/3 中堅企業等:1/3 ※大規模な賃上げを実施する場合:1/2 |
卒業促進枠 |
成長枠・グリーン成長枠の 補助金額上限に準じる |
中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 |
大規模賃金引上促進枠 |
100万~3,000万円 |
中小企業者等:1/2 中堅企業等:1/3 |
産業構造転換枠 |
中小企業者等、 中堅企業等ともに 100万~7,000万円(※) |
中小企業者等:2/3 中堅企業等:1/2 |
最低賃金枠 |
中小企業者等、 中堅企業等ともに 100万~1,500万円 |
中小企業者等:3/4 中堅企業等:2/3 |
物価高騰対策 ・回復再生応援枠 |
中小企業者等、 中堅企業等ともに 100万~3,000万円 |
中小企業者等:2/3 中堅企業等:1/2 |
※廃業を伴う場合は、廃業費を最大2,000万円上乗せ
助成対象者
補助対象者は、中小企業および中堅企業です。
中小企業者とは、資本金または常勤従業員数が下表の数字以下となる会社または個人と定義しています。
業種 |
資本金 |
常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 |
3億円 |
300人 |
卸売業 |
1億円 |
100人 |
サービス業(※1) |
5,000万円 |
100人 |
小売業 |
5,000万円 |
50人 |
ゴム製品製造業(※2) |
3億円 |
900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 |
3億円 |
300人 |
旅館業 |
5,000万円 |
200人 |
その他の業種(上記以外) |
3億円 |
300人 |
※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
※2 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く
中堅企業とは、中小企業の範囲に入らない会社のうち、資本金が10億円未満の会社と定義しています。
対象経費
補助対象経費は、主に下表の通りです。
補助対象経費 |
例 |
建物費 |
建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、 貸し工場・貸店舗等の一時移転 |
クラウドサービス利用費 |
クラウドサービス利用に要する経費 |
運搬費 |
運搬に要する経費 |
機械装置・システム構築費 |
設備、専用ソフトの購入やリース等 |
技術導入費 |
知的財産権導入に要する経費 |
知的財産権等関連経費 |
知的財産権等関連の経費 |
外注費 |
製品開発に要する加工、設計等 |
専門家経費 |
専門家に要する経費 |
広告宣伝費・販売促進費 |
広告作成、媒体掲載、展示会出展等 |
研修費 |
教育訓練費、講座受講等 |
観光事業者による環境対策促進事業補助金
観光事業者による環境対策促進事業補助金は、観光事業者による環境対策の取組を促進し、そうした取組を国内外にPR発信することをサポートするための制度です。
補助額・補助率
補助額 |
補助限度額1,500万円 |
補助率 |
1/2以内 ※中小事業者については2/3以内 |
補助対象者
補助対象者は、以下すべての要件を満たす事業者です。
- ・都内に登記簿上の本店又は支店を有し、都内で営業を行っている宿泊事業者、
旅行事業者、観光バス事業者、タクシー事業者等の観光事業者 - ・本事業の目的に資する環境対策に関する計画等を作成していること
- ・本事業の補助金の交付対象となった環境対策促進の取組について、
国内外に向けた広報PRを実施すること
対象経費
補助対象経費は、主に以下の通りです。
- ・事業者が策定した環境対策(※)に関する計画に基づいて実施する
都内施設における設備導入等の取組に係る機械設備導入費 - ・補助対象となる取組についての広報PR等に係る広告宣伝費
※環境対策とは、節水やペーパーレス、廃棄物の低減等に資する取組を指し、省エネや脱炭素に資することを目的とした取組は含まない
支援規模1,000万円の助成金
続いて、支援規模1,000万円の助成金の助成額や対象者などを紹介します。
イノベーシスト助成金事業
イノベーシスト助成金事業は、大阪の「社会と経済の両立」に挑む企業のサポートを目的としている助成金です。微生物発酵技術を利用したバイオ化学品の生産事業や、埋込型充電器の拡販などにおける受賞事例があります。
助成額
イノベーシスト助成金事業の助成額は300万〜1,000万円です。以下の通り、受賞する賞によって助成額が変わります。
画像引用元:公益財団法人イノベーシスト応募要項
助成対象者
助成対象者は、社会的課題に有益な技術・製品・サービス・システム・ビジネスプランを有する大阪に主たる事務所を有する法人または大阪在住の個人です。応募条件は以下をご覧ください。
画像引用元:公益財団法人イノベーシスト 応募要項
対象経費
経費経費は応募要項に明確には記載されていないですが、社会的課題に有益な技術・製品・サービス・システム・ビジネスプランへ資する経費と考えられます。
補助金・助成金の活用事例
最後に補助金・助成金の活用事例を紹介しますので、自社の活用方法を見出すためにお役立てください。
ものづくり補助金の活用事例
画像引用元:山陽精螺工業株式会社
山陽精螺工業株式会社は、ねじのエキスパートとして機械加工部品の幅広いニーズに応えている企業です。
川上工程で鋼材の切り出し作業がボトルネックとなっているという課題がありました。そこで、全自動システムバンドソーの導入を図り、作業の自動化を実現。作業時間の大幅な短縮と、QCD(※品質、コスト、納期の3つの要素)のレベルアップにつながりました。
また、山陽精螺工業株式会社は、続けてものづくり補助金事業に採択されています。結果、地元金融機関の信用力向上にもつながったと予想しています。積極的な設備投資を行う企業にとって、金融機関との良好な関係構築は大切です。地元金融機関の信用力向上も事業効果の1つとして認識されています。
参考元:ものづくり・商業・サービス補助金成果活用グッドプラクティス集2021-2022
事業再構築補助金の活用事例
画像引用元:株式会社ノースコーポレーション
株式会社ノースコーポレーションは、埼玉県内でイタリアンレストランを運営している企業です。地元産食材にこだわった料理が好評で、順調に事業を拡大し、商品開発や学校給食への提供などの地産地消にも取り組んできた実績があります。
しかし、コロナ禍における影響によって売上が7割減という厳しい経営状況に。地元生産者の野菜の出荷が止まる事態にも陥っていました。そこで、新たな収益源の確保と地元産食材の販売機会創出を目的に、テイクアウト・宅配形式による小売業態への進出を決断。
第1号レストランを地産地消セレクトショップに改装し、地元産食材のブランド商品を開発・販売する拠点に変更。非接触型オーダーアプリの開発やセントラルキッチンの整備などに要する投資を補助事業で実施することを予定しました。補助事業終了後5年目で新規事業の売上比率20.7%、従業員一人あたりの付加価値額24.1%増を計画しています。
参考元:事業再構築補助金 採択事例紹介
イノベーシスト助成金事業の活用事例
画像引用元:認定NPO法人CLACK
認定NPO法人CLACKは、プログラミング学習支援とキャリア支援の2つの事業を軸に、高校生の進路の選択肢を広げ、自立につなげるための事業を行うNPO法人です。
理事長の体験を源泉として課題設定されていることによる説得力の高さや、プログラミング学習支援の取組などが評価され、イノベーシスト大賞の受賞に至りました。
企業に対するITソリューションとしてのアピールを高めて賛助会員を増やし、経済的基盤を盤石にするなど、助成金によるさらなる発展が期待されています。
参考元:公益財団法人イノベーシスト 2023年度受賞事業発表
【まとめ】1,000万円規模の補助金・助成金を紹介しました
1,000万円規模の補助金や助成金の紹介をしました。
今回紹介した補助金・助成金をまとめると、以下の通りです。
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- 東京都観光事業者による環境対策促進事業補助金
- イノベーシスト助成金事業
それぞれの概要や補助金額、活用事例なども参考にして、自社にあった補助金探しにお役立てください。