ECサイトの構築に利用できる「IT導入補助金」を解説!申請条件、手順をご紹介
ECサイトの担当者の中には、ECサイト構築のためにIT導入補助金の導入を検討されている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ECサイト構築時の条件やIT導入補助金の申請手順などについて解説します。最後まで読めば、IT導入補助金の概要が分かり、補助金の申請を検討できます。
IT導入補助金はECサイトの構築に活用可能
結論、ECサイトの構築に補助金を活用することは可能です。ただし、いくつか条件がありますので、後述の解説をよく確認してから申請準備を進めるようにしてください。
なお、IT導入補助金2023 前期事務所局は2023年7月31日をもちまして、申請受付を終了しました。交付は2023年7月31日までに交付申請された方が対象となっているため、新規の申請はできないため、注意が必要です。
2023年8月1日以降の問い合わせについては、後期事務局が対応しています。
画像引用:IT導入補助金2023
関連記事:IT導入補助金とは?対象者や補助額、申請方法を解説【注意点も】
ECサイト構築時に利用する際の条件
ECサイト構築時に利用する際の条件について解説します。
「デジタル化基盤導入枠」にて申請
デジタル化基盤導入枠とはIT導入補助金制度のうちの一つで、ITツールの導入によってDX の推進や生産性の向上を図る取組みを行う企業を支援するためのものです。
デジタル化基盤導入枠にはECサイト導入が含まれており、以下の取組みに対して支援されます。
- 顧客のニーズを捉えた情報発信
- オンラインとオフラインによる販売戦略
- 効果的な受発注や在庫管理
デジタル化基盤導入枠には、デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型があります。
デジタル化基盤導入類型とは、新型コロナウイルスの影響を受けた、中小企業・小規模事業者等に対し、インボイス制度への対応も見据え、デジタル化の推進のため、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援することを目的としたものです。
一方、複数社連携IT導入類型とは、複数社へのITツールの導入を支援し、連携するためのコーディネート費や取組への助言を行う外部専門家に係る謝金等を含めて支援するものです。複数社連携IT導入類型には会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトを対象としたデジタル化基盤導入類型とデジタル化基盤導入類型の要件を満たさないものに分かれます。
それぞれの概要は以下のようになります。
複数社連携IT導入類型の補助金額の上限と補助率は以下の通りです。
画像引用:IT導入補助金2023
ECサイトの新規制作目的での利用
ECサイト構築でスクラッチ開発をする場合は利用できません(インボイス制度に対応する支援を目的とする場合は補助対象)。スクラッチ開発とは、システムやソフトウェアをオーダーメイドで開発する方式です。
また、サイトをリニューアルする場合の補助金に関する対象部分・非対象部分は以下の通り。
リニューアルの内容 |
補助金の対象 |
既存のホームページをリニューアルして 新たにEC機能を実装する場合 |
新規で導入された部分のみが対象 |
既存のECサイトのデザインのみのリニューアルで、 電子決済機能が導入されない場合 |
補助金の対象外 |
ショッピングモールへの出店については、新規出店の場合のみであり、ショップサイトの制作を伴うものに限り対象です。
電子決済機能・セキュリティ対策をしたECサイト
ECサイトは、以下のような電子決済機能が実装されている必要があります。
- クレジットカード
- デビットカード
- キャリア決済等
また、SSL(Secure Socket Layer)や TLS(Transport LayerSecurity)を用いた HTTPS 通信の導入も必須です。
登録されたIT導入支援事業者への依頼
IT導入支援事業者に登録されている事業者への依頼でなければ、補助金は利用できません。IT導入補助金を受け取れないのは以下の場合です。制作しても補助金がもらえないため、注意が必要です。
- 自社でECサイトを構築
- IT導入支援事業者に登録されていない会社への依頼
IT導入補助金の申請手順
IT導入補助金の申請手順について解説します。
ITツール・IT導入支援事業者の選定
まず導入したいITツールを選定し、導入したいITツールに対応している支援事業者を選びます。IT導入支援事業者は、大分類の中からITツールを1つ選び、事務局へ申請する必要があります(先行登録申請)。
「gBizIDプライム」のアカウント取得
まずgBizIDプライムアカウントを取得します。公式サイトでgBizIDボタンをクリックし、アカウントを取得。ID発行までの期間は、約2週間となっているため、注意が必要です。
次にIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の情報セキュリティ対策への取組を宣言する「SECURITY ACTION」で以下の★いずれかを宣言します。
- ★一つ星
- ★★二つ星
最後にポータルサイト「みらデジ」の経営チェックを実施します。
補助金の交付申請
申請者はIT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待をもらい、申請者の基本情報を入力。「申請マイページ」で交付申請に必要となる申請者の情報入力・書類添付を行います。
IT導入支援事業者には、導入するITツール情報や事業計画値を入力してもらいます。「申請マイページ」で入力内容の最終確認をしてもらい、宣誓後、事務局へ提出してもらうことになります。
事業の実施
ITツールの発注・契約・支払いの交付決定後、事業を実施します。契約前に制作を行うと補助金の対象外となるため、注意が必要です。
実績報告
補助金を受け取るには、導入実績の報告が必要です。「申請マイページ」で必要な情報を添付し、事業実績報告を作成します。
そのためには、以下のようなECサイトの情報を揃えることが必要です。
- URL
- 管理画面の画面キャプチャ等
- テストID・PWの発行(BtoB向けECサイトなどでサイト内を確認できない場合)
事業実績報告作成後は、IT導入支援事業者が内容の確認をします。最後に、申請者は事務局に事業実績報告を提出します。
納品がすべて完了していないECサイト(制作途中のもの)は申請対象外なのでご注意ください。
補助金の交付手続き
交付手続きの方法は以下の通り。
(1)IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受けます
(2)申請マイページを開設し、gBizIDでログインします
画像引用:交付申請の手引き
(3)交付申請の作成を開始し、以下の情報を入力します
- 基本情報
- 財務情報
- 経営情報
(4)IT導入支援事業者は入力した情報を確認し、以下の情報を入力します
- IT導入支援事業者担当者情報
- 導入するITツール情報
(5)申請者はマイページ要件を確認後、賃金情報を入力します
画像引用:交付申請の手引き
(6)SMS認証後、事務局へ交付申請を行います
画像引用:交付申請の手引き
(7)審査によって採否が決定されます
なお、申請者マイページで補助金額を確認できます。締切日の17:00で交付申請が終わってしまうので、注意が必要です。
実施効果の報告
補助金を受け取るには、導入実績の報告が必要です。マイページから必要情報を入力し、IT導入支援事業者の確認後に提出します。
デジタル化基盤導入枠の採択スケジュール(2023年)
デジタル化基盤導入枠の交付申請期間は以下の通りです。詳細は後期事務局の公式サイトで順次公表予定です。
交付申請期間:2023年8月1日~
その他ECサイト制作時に申請できる補助金
その他ECサイト制作時に申請できる補助金についてもご紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等について、販路開拓や生産性向上の取組を支援するため、経費の一部を補助するものです。
種類(枠・類型) |
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補助金額の上限 |
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補助率 |
「経営計画」に基づいて実施した事業における経費の2/3 (賃金引上げ枠:赤字事業者は3/4) |
目的 |
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補助対象 |
小規模事業者等 |
補助金の利用時に知っておくべきこと
補助金の利用時に知っておくべきことについて解説します。
申請審査で落ちることもある
書類情報の入力ミスや漏れ、そもそも事業計画の内容次第では、申請審査で落ちてしまうことがあります。書類の作成は、資格保有事業者に相談するのも重要です。
またgBizプライムの登録には時間がかかります。余裕を持って登録しないと間に合わなくなってしまいます。締切直前に登録しないように注意が必要です。
補助金は併用できない
同一事業に2つの補助金は申請できません。例えば、ある事業Aにものづくり補助金とIT導入補助金を併用するのは不可能ですが、別事業なら申請できます。
ただし別事業で、IT導入補助金を複数回受給すると、減点措置の対象になりますのでご注意くだ
さい。
補助金は後払いで入金される
補助金は基本的に後払いです。一時的にITツール導入にかかった諸経費は立て替えておく必要があります。対象事業を実施した後に振り込まれるため、注意が必要です。
また、導入契約や代金の支払いは必ず交付決定後にしましょう。決定前に実施すると対象外になってしまいます。
補助金の受け取り時に報告義務がある
IT導入補助金は報告義務があり、事実と異なる報告や計画との乖離が著しい場合、返還を求められることがあります。
不正が疑われた場合、立入検査されるため注意が必要です。
IT導入支援事業者選びが重要!
IT導入支援事業者選びが採択率を高めるポイントです。IT導入補助金は、長期間手続きが必要なため、支援事業者と二人三脚で作業する必要があります。そのため、書類作成に熟知した支援事業者や行政書士などに相談するのがおすすめです。
【まとめ】ECサイト構築で使えるIT導入補助金を解説しました
ECサイトの構築に利用できるIT導入補助金について知りたい方向けに、ECサイト構築時の条件やIT導入補助金の申請条件を解説しました。
ECサイト構築で使えるIT導入補助金の申請条件は、以下の通りです。
- 「デジタル化基盤導入枠」にて申請
- ECサイトの新規制作目的での利用
- 電子決済機能・セキュリティ対策をしたECサイト
- 登録されたIT導入支援事業者への依頼
本記事で紹介した内容をもとに、IT導入補助金の申請を検討進めてください。