事業再構築補助金の補助対象「中堅企業」とは?要件や申請方法を解説

事業再構築補助金の対象となる企業のカテゴリーの1つに「中堅企業」があります。しかし、中堅企業の定義までご存知の方は少ないのではないでしょうか。当記事では中堅企業の定義を解説するとともに、中堅企業が事業再構築補助金を申請する際の要件や申請方法を紹介します。自社が中堅企業かどうか分からない経営者の方や、事業再構築補助金の申請をお考えの方はぜひ参考にして下さい。
事業再構築補助金は中堅企業も申請が可能

事業再構築補助金は中堅企業でも申請が可能です。しかし中堅企業の定義は一般的に広く知られているとは言い難いでしょう。以下で、中堅企業の定義から解説します。
中堅企業の定義
中堅企業とは、大企業と中小企業の間に位置する企業とされています。中堅企業の具体的な定義は業種によって異なりますが、基本的には資本金10億円未満の企業です。ただし、事業再構築補助金の応募申請時点において、以下の中小企業は中堅企業とみなされます。
- 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者
また、2023年11月には経済産業省が「従業員数2000人以下の企業を新たに中堅企業として法律に位置づける」議論を開始したと発表しています。今後、定義が変わって中堅企業の数が増える可能性があります。
中小企業との違い
中堅企業と中小企業の違いは、おもに資本金の違いです。下表のように業種ごとに規定があり、資本金と従業員数が制限されています。中堅企業は中小企業と従業員数の違いはありませんが、資本金は中堅企業のみ10億円未満という規定です。資本金が10億円以上となると、大企業のカテゴリーに含まれます。それぞれの業種の詳細については後ほど解説します。
業種 |
資本金 |
従業員数(常勤) |
製造業・建設業・運輸業 |
3億円以上10億円未満 |
300人以下 |
ゴム製品製造業 |
3億円以上10億円未満 |
900人以下 |
卸売業 |
1億円以上10億円未満 |
100人以下 |
サービス業 |
5,000万円以上10億円未満 |
100人以下 |
小売業 |
5,000万円以上10億円未満 |
50人以下 |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 |
3億円以上10億円未満 |
300人以下 |
旅館業 |
5,000万円以上10億円未満 |
200人以下 |
その他の業種 |
3億円以上10億円未満 |
300人以下 |
みなし大企業とは
事業再構築補助金の事務局によると、みなし大企業とは、資本金や従業員数においては中小企業や中堅企業の枠に入っていても、大企業の傘下に入っている企業を指します。たとえ企業の規模が中堅企業クラスであっても、財政的に恵まれているという点から区別されています。みなし大企業の具体的な条件は以下の5つです。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
- 大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1~3に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- 1~3に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占 めている中小企業者
みなし中堅企業とは
みなし中堅企業とは、以下の5つの条件に当てはまる中小企業です。
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の中堅企業が所有している中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を中堅企業が所有している中小企業者
- 中堅企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1~3に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- 1~3に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占 めている中小企業者
つまり、みなし大企業のケースの「大企業」の部分が「中堅企業」になると、上記の中小企業は中堅企業とみなされます。企業の規模的には中小企業であっても中堅企業の扱いを受けるため、みなし中堅企業とよんで区別しています。
事業再構築補助金を中堅企業が申請するための要件
中堅企業は、業種ごとに資本金や従業員数の規定が異なります。本項では、中堅企業が事業再構築補助金に申請するための要件を、以下の10の業種に分けて解説します。
- 製造業の場合
- ゴム製品製造業の場合
- 建設業の場合
- 運輸業の場合
- 卸売業の場合
- サービス業の場合
- 小売業の場合
- ソフトウェア業または情報処理サービス業の場合
- 旅館業の場合
- その他の業種の場合
製造業の場合
中堅企業の製造業では、資本金が3億円以上10億円未満と規定されています。また、常時使用する従業員数は300人以下です。ただし、製造業の中でもゴム製品製造業のみ規定が区別されています。
ゴム製品製造業の場合
中堅企業のゴム製品製造業の資本金は3億円以上10億円未満で、常時使用する従業員数は900人以下です。ただし、自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業と、工業用ベルト製造業を除きます。従業員数の要件が他の業種よりもかなり多いことが特徴です。
建設業の場合
中堅企業の建設業では、資本金が3億円以上10億円未満と規定されています。また、常時使用する従業員数は300人以下です。事業を行うために多数の設備が必要なため、資本金が高めに規定されています。
運輸業の場合
中堅企業の運輸業の資本金は3億円以上10億円未満で、常時使用する従業員数は300人以下です。建設業と同様に、輸送用車両のような高額な設備が必要なため、資本金が高額に規定されています。
卸売業の場合
中堅企業の卸売業では、資本金が1億円以上10億円未満と規定されています。また、常時使用する従業員数は100人以下です。大型の倉庫が必要な場合が多いため、販売業の中では資本金が高額に規定されています。
サービス業の場合
中堅企業のサービス業の資本金は5,000万円以上10億円未満、常時使用する従業員数は100人以下です。ただし、ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除きます。
小売業の場合
中堅企業の小売業では、資本金が5,000万円以上10億円未満と規定されています。また、常時使用する従業員数は50人以下です。従業員数の規定が他の業種よりもかなり少なく規定されていることが特徴です。
ソフトウェア業または情報処理サービス業の場合
中堅企業のソフトウェア業または情報処理サービス業の資本金は3億円以上10億円未満、常時使用する従業員数は300人以下です。政府がIT関連事業を積極的に支援していることも関係し、資本金の要件が高く規定されています。
旅館業の場合
旅館業はサービス業の1つですが、中堅企業では資本金が5,000万円以上10億円未満と規定されています。また、常時使用する従業員数は200人以下です。
その他の業種の場合
中堅企業で、上記の業種に含まれないその他の業種の資本金は3億円以上10億円未満、常時使用する従業員数は300人以下です。
事業再構築補助金の補助金額と補助率

事業再構築補助金の補助金額
中堅企業が受給できる事業再構築補助金の、申請枠ごとの金額の上限は下表のとおりです。
申請枠 |
補助金の上限額 |
成長枠 |
7,000万円 |
グリーン成長枠(エントリー) |
1億円 |
グリーン成長枠(スタンダード) |
1.5億円 |
卒業促進枠 |
7,000万円 |
大規模賃金引上促進枠 |
3,000万円 |
産業構造転換枠 |
7,000万円 |
最低賃金枠 |
1,500万円 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 |
3,000万円 |
グローバルV字回復枠 |
1億円 |
事業再構築補助金の補助率
中堅企業が受給できる事業再構築補助金の、申請枠ごとの補助率は下表のとおりです。
申請枠 |
補助率 |
成長枠 |
1/3(大幅な賃上げを行う場合は1/2) |
グリーン成長枠 |
1/3(大幅な賃上げを行う場合は1/2) |
卒業促進枠 |
1/3 |
大規模賃金引上促進枠 |
1/3 |
産業構造転換枠 |
1/2 |
最低賃金枠 |
2/3 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 |
1/2 (従業員数5人以下の場合400万円、 従業員数6~20人の場合600万円、 従業員数21~50人の場合は800万円、 従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3) |
グローバルV字回復枠 |
1/2 |
事業再構築補助金の応募枠ごとの申請要件
中小企業が事業再構築補助金の申請を行う際には、申請枠ごとに規定されている要件を満たす必要があります。中堅企業が申請できる枠は、以下のとおりです。
- 成長枠
- グリーン成長枠
- 卒業促進枠
- 大規模賃金引上促進枠
- 産業構造転換枠
- 最低賃金枠
- 物価高騰対策・回復再生応援枠
- グローバルV字回復枠
まず、いずれの申請枠にも適用される必須要件があり、以下の2つです。
- 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること(ただし、事業計画書は事業者自身で事業再構築指針に沿って作成すること。 補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行・信金・ファンド等)の確認も受けること。金融機関 が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみでも可。)
- 付加価値額を向上させること(補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる) 以上増加させることが必要。付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費を足したものをいう。)
本項では、中堅企業で申請できる事業再構築補助金の申請枠ごとに、申請要件を解説します。
成長枠の申請要件
本項の冒頭で示した2つの必須要件に加え、以下の2つの要件が求められます。
- 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
1に記載されている業種については、事業再構築補助金の事務局が公開しており、随時更新されています。また、必須要件で記載されている付加価値額は、成長枠では年率平均4.0%以上の増加が必要です。
グリーン成長枠の申請要件
グリーン成長枠の申請要件は、エントリーとスタンダードでそれぞれ規定されています。
エントリーの申請要件は、必須要件に加えて以下の2つです。
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
1に記載されている人材育成では、外部研修または専門家を招いたOJT研修の受講が必要です。また、必須要件で記載されている付加価値額は、成長枠と同じく年率平均4.0%以上の増加が求められます。
スタンダードの申請要件は、必須要件に加えて以下の2つです。
- グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の10%以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行うこと
- 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること
スタンダードはエントリーよりも厳しい要件が設定されています。1に記載されている人材育成では、エントリーと同じく外部研修または専門家を招いたOJT研修の受講が必要です。また、必須要件で記載されている付加価値額は、エントリーよりも厳しい年率平均5.0%以上の増加が求められます。
卒業促進枠の申請要件
卒業促進枠は、成長枠・グリーン成長枠で実施する補助事業を通して、中堅企業から大企業に成長する事業者に対して補助金を上乗せする目的で設立されました。卒業促進枠の注意点は、次で紹介する大規模賃金引上促進枠との併用ができない点です。
卒業促進枠の申請要件は、以下の2つがあります。
- 成長枠またはグリーン成長枠に、同一の公募回で申請すること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後、3~5年で中堅企業の規模から卒業すること
大規模賃金引上促進枠の申請要件
大規模賃金引上促進枠は、成長枠・グリーン成長枠で実施する補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対し、補助金額を上乗せするために設けられています。大規模賃金引上促進枠の注意点は、前述の卒業促進枠との併用ができない点です。
大規模賃金引上促進枠の申請要件は、以下の3つです。
- 成長枠またはグリーン成長枠に、同一の公募回で申請すること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
- 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3~5年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上(最低事業計画期間×1人の増員が必要)増員させること
産業構造転換枠の申請要件
産業構造転換枠は、国内市場が縮小してしまって事業の存続が難しかったり、国内産業構造の変化によって事業転換が強く求められる企業などを支援する申請枠です。事業転換の必要性が高いために、全申請枠の中で唯一、対象経費に廃棄費が追加されています。
産業構造転換枠は、必須要件を満たしたうえで、次の2つのうちいずれかを満たすことが申請要件です。
- 現在の主たる事業が過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
- 地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること
1の市場規模については、事業再構築補助金の事務局から「産業構造転換枠対象業種・業態リスト」が公開されています。2の地域と基幹大企業については、自治体に資料の作成を依頼して、要件を満たすことを証明してもらわなければなりません。また、必須要件で記載されている付加価値額は、産業構造転換枠では年率平均3.0%以上の増加が必要です。
最低賃金枠の申請要件
最低賃金枠は、最低賃金の引き上げによって業況が厳しくなった中堅企業を支援する申請枠です。補助率が中堅企業で2/3と高いことが特徴です。
最低賃金枠では、必須要件を満たしたうえで、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019年~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 2022年10月から2023年8月までの間で、3ヶ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること
また、必須要件で記載されている付加価値額は、最低賃金枠では年率平均3.0%以上の増加が必要です。
物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件
物価高騰対策・回復再生応援では、必須要件を満たしたうえで、次の2つのうちいずれかを満たすことが要件です。
- 2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019年~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること
- 中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画等を策定していること
また、必須要件で記載されている付加価値額は、物価高騰対策・回復再生応援枠では年率平均3.0%以上の増加が必要です。
グローバルV字回復枠の申請要件
グローバルV字回復枠では、必須要件を満たしたうえで、以下の2つを満たすことが要件です。
- 申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して15%以上減少していること
- 事業のグローバル展開(海外への直接投資・海外市場の開拓・インバウンド市場の開拓・海外事業者との共同事業)を行うこと
必須要件については、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均5.0%以上の増加が必要です。または、従業員一人当たり付加価値額の年率が平均5.0%以上増加する見込みの事業計画を策定する必要があります。
グローバルV字回復枠とは
グローバルV字回復枠とは、新型コロナウイルスの影響で売上が激減している中堅企業を支援する申請枠です。業況の悪化を、事業のグローバル展開によって乗り越え、文字通り業況のV字回復を目指す中堅企業を支援します。
グローバルV字回復枠の概要
グローバルV字回復枠には、以下のような特徴があります。
- 売上高が15%以上減少している中堅企業限定
- すべての公募回の合計100社限定
- 補助金は8,000万円~1億円
- 付加価値要件を達成できなければ補助金を返還
グローバルV字回復枠は中堅企業限定の申請枠です。他の枠と異なり、合計100社しか採択されないため、申請要件が厳しく設定されています。さらに、必須要件である付加価値額の増加が達成できなければ、補助金を返還しなければならないという厳しい規定もあります。
中堅企業が事業再構築補助金を申請する方法
中堅企業が事業再構築補助金を活用するには、以下の手順で申請を進めます。
- 公募内容の確認
- 認定経営革新等支援機関の選定
- 申請書類の作成
- 公募期間内に申請
- 採択・不採択の決定
- 補助対象事業の実施
- 補助金事務局へ実績を報告
- 補助金の交付
- 事業化状況の報告
公募内容の確認
最初に行うことは事業再構築補助金の公募内容の確認です。公募内容は、事業再構築補助金の事務局から公式サイトのトップページで定期的にアナウンスされているので、最新の情報をチェックしましょう。
認定経営革新等支援機関の選定
事業再構築補助金の申請を行う際には、どの申請枠でも必須要件として「認定経営革新等支援機関」の支援を受ける必要があります。税務・金融・企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人・法人・中小企業支援機関などが経営革新等支援機関として認定されています。支援機関を選定して、事業計画の策定の相談をしましょう。
申請書類の作成
事業再構築補助金の申請を行う際には、事業計画書を作成しなければなりません。申請要件となっている付加価値額の達成の道筋を立て、採択事例も参考にしながら事業計画を策定することがポイントです。また、補助金の金額が3,000万円以上の場合は、金融機関の確認書も必要です。
公募期間内に申請
最初にチェックした公募期間内に、必要な書類を揃えて事業再構築補助金の申請を行います。事業再構築補助金の申請はインターネットを通じてしか行えず、専用の電子申請システムが用意されています。電子申請にはあらかじめ「GビズID」の取得が必要です。申請を行ったら、採択・不採択の結果が出るまで待ちましょう。
採択・不採択の決定
事業再構築補助金は、申請しただけでは補助金を受け取ることができません。申請を受け付けたのちに審査が行われ、採択されて初めて補助金の対象者としての資格が得られます。採択されるためには事業計画書の内容が最も重要です。また、事業計画書に問題がなくても、他の書類の不備によって採択されなかった例も多いので注意しましょう。
補助対象事業の実施
事業再構築補助金の申請が採択されても、すぐに補助金を受け取れるわけではありません。補助対象となっている事業を、事業計画書に記載している計画のとおりに遂行し、実績を出す必要があります。場合によっては、事業再構築補助金の事務局から進捗の報告を求められるケースもあるので注意しましょう。
補助金事務局へ実績を報告
補助対象の事業が完了したら、事業再構築補助金の事務局へ実績を報告します。報告を受けた事務局は、補助対象事業が事業計画書の計画どおりに完了しているか確定検査を実施。目標が達成できていることが確認されれば、補助金支給が確定します。
補助金の交付
事業再構築補助金の事務局による確定検査が完了すると、補助金の金額が確定します。ただし、補助金を受け取るには請求を行わなければなりません。清算払請求の手続きを行い、手続きに不備がなければ、事業者の指定する口座に補助金が振り込まれます。
事業化状況の報告
事業再構築補助金は、補助金を受け取った後にも手続きが存在します。補助事業期間の終了後にフォローアップ期間が存在するためです。補助事業の終了後5年間は、事務局に対して経営状況に関する年次報告をしなければなりません。
事業再構築補助金を中堅企業が申請するメリット

事業の再構築が望める
中堅企業は従業員数が多いため、経営難に陥ると多くの従業員や家族の生活に不安をもたらしてしまいます。事業再構築補助金は元々は中小企業を救済するための制度ですが、中堅企業も支援の対象です。有効に活用すれば事業の再構築が実施でき、業況の回復が望めます。
補助金額が多い
中堅企業が事業再構築補助金を申請すると、中小企業よりも多くの補助金を受給できます。補助金額が多いため、新分野の展開や業種転換などさまざまな用途に補助金を活用可能です。中堅企業のみ申請できる枠もあるため、幅広い選択肢の中から自社にあった申請枠を選べます。
設備投資ができる
中堅企業が事業再構築補助金を申請する場合は、1億円を超える多額の補助金が受けられる場合があります。普段の財政状況ではとてもできないような設備投資も、事業再構築補助金を活用すれば可能です。
新規事業の開始が望める
新規事業の開始が望めることも、中堅企業が事業再構築補助金を申請するメリットの1つです。事業再構築補助金は、企業の思い切った経営方針の転換を後押しする制度でもあります。補助金の受給を好機ととらえ、長年温めていた新規事業の構想を実施する中堅企業も増えています。
事業再構築補助金を中堅企業が申請する際の注意点

企業の分類
中堅企業というカテゴリーがまだあまり浸透していないため、自社が中堅企業に分類されるのか分からない事業者も少なからずいるでしょう。中堅企業の定義は、事業再構築補助金の公募要領に記載されています。自社が中堅企業に該当するのか、中小企業に該当するのかを、事前に確認しておきましょう。
資本金と従業員数
中堅企業の定義は、実は業種によって異なります。特に注意しなければならないのは、資本金と従業員数です。先述したように、製造業でもゴム製品製造業のみ規定が異なっていたり、サービス業でもソフトウェア業や旅館業などは規定が異なります。販売業では卸売業と小売業も、資本金と従業員数の規定が異なることに注意しましょう。
補助率が低い
中堅企業が事業再構築補助金を申請する場合は、中小企業が申請する場合よりも補助率が低く設定されています。自社が中堅企業に該当するのか中小企業に該当するのかを事前に確認して、どの程度の補助金が受給できるのか把握しておくとよいでしょう。
【まとめ】事業再構築補助金を中堅企業が申請する方法について紹介しました
中堅企業が事業再構築補助金の申請を行う際には、まず自社が中堅企業に該当するのか中小企業に該当するのかを確認する必要があります。中堅企業は中小企業よりも多くの補助金が受給できるうえに、選択できる申請枠も幅広く存在しています。確実に採択を受けるためには、必須要件を達成できる事業計画を策定することがポイントです。アフターコロナ・ウィズコロナの状況を、事業再構築補助金の上手な活用で乗り越えましょう。