事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説

事業再構築補助金がサービス業で活用できるのか気になっている方もいるでしょう。本記事では、事業再構築補助金をサービス業で活用する方法や採択事例を解説。対象となるサービス業の種類も紹介しています。新型コロナウイルスの影響による売上の減少に悩まされている企業の方々も、事業再構築補助金を上手く活用して下さい。

目次
  1. 1. 事業再構築補助金はサービス業で活用できる
    1. 1-1. 事業再構築補助金の概要
    2. 1-2. 事業再構築補助金が導入された背景
  2. 2. 事業再構築補助金の補助額と補助率
    1. 2-1. 成長枠の補助額
    2. 2-2. グリーン成長枠の補助額
    3. 2-3. 卒業促進枠の補助額
    4. 2-4. 大規模賃金引上促進枠の補助額
    5. 2-5. 物価高騰対策・回復再生応援枠の補助額
    6. 2-6. 最低賃金枠の補助額
    7. 2-7. 産業構造転換枠の補助額
    8. 2-8. 事業再構築補助金の補助率
  3. 3. 事業再構築補助金の補助対象経費
    1. 3-1. 補助対象となる経費
    2. 3-2. 補助対象外となる経費
  4. 4. 事業再構築補助金の対象となるサービス業
    1. 4-1. 事業再構築補助金の対象要件
    2. 4-2. 事業再構築補助金の対象となるサービス業の種類
    3. 4-3. 中小企業と中堅企業
  5. 5. 事業再構築補助金のサービス業での採択事例
    1. 5-1. 株式会社レバンガ北海道
    2. 5-2. 沖縄ツーリスト株式会社
    3. 5-3. 有限会社西部トラベル
  6. 6. サービス業で採択されるためのポイント
    1. 6-1. 既存事業とのシナジー効果があるか
    2. 6-2. 独自性があるか
    3. 6-3. 物価高騰対策・回復再生応援枠を利用する
  7. 7. 事業再構築補助金の申請の流れ
    1. 7-1. 事業再構築補助金公募スケジュールの確認
    2. 7-2. 申請書類の提出
    3. 7-3. 申請方法
    4. 7-4. 採択後の手続き
  8. 8. 事業再構築補助金の申請書作成のポイント
    1. 8-1. 事業計画は合理的で説得力のある内容を心がける
    2. 8-2. 認定経営革新等支援機関や金融機関に相談
    3. 8-3. 明確な数値目標を設定する
  9. 9. サービス業が利用可能な補助金
    1. 9-1. 事業再構築補助金
    2. 9-2. ものづくり補助金
    3. 9-3. IT導入補助金
    4. 9-4. 小規模事業者持続化補助金
  10. 10. 【まとめ】サービス業の事業再構築補助金について紹介しました

事業再構築補助金はサービス業で活用できる

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_4

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなった中小企業や中堅企業などを支援する目的で運営されています。単に経営が厳しくなった企業を支援するにとどまりません。コロナ禍の影響を払拭できない世の中の状況にあわせて、事業の形を変えていく企業を支援する制度でもあります。

事業再構築補助金が導入された背景

中小企業庁によると、事業再構築補助金は、日本企業が海外の先進国の企業に比べて新規事業への参入が少ないことから導入されました。また、日本企業は利益を投資にまわさない傾向があることも問題視。新製品や新サービスの開発を後押しして国内経済を活性化させる目的があります。

事業再構築補助金の補助額と補助率

事業再構築補助金の補助上限額と補助率は、それぞれの枠ごとに規定があります。本項では以下の8つの補助上限額と補助率を、一覧表とともに紹介しています。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠
  • 最低賃金枠
  • 産業構造転換枠
  • 事業再構築補助金の補助率

成長枠の補助額

成長枠の補助金の上限額は、従業員数によって下表のように4つに区分されています。

従業員数

補助上限額

20人以下

2,000万円

21人~50人

4,000万円

51人~100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

グリーン成長枠の補助額

グリーン成長枠にはエントリーとスタンダードという2種類のカテゴリーがあり、補助金の上限額はそれぞれのカテゴリーごとに規定されています。さらに、2つのカテゴリーはいずれも中小企業と中堅企業で補助上限額が異なります。さらにエントリーの中小企業は従業員数によって下表のように3つに区分されています。

グリーン成長枠(エントリー)

従業員数

補助上限額

中小企業

20人以下

4,000万円

21人~50人

6,000万円

51人~

8,000万円

中堅企業

規定なし

1億円

グリーン成長枠(スタンダード)

従業員数

補助上限額

中小企業

規定なし

1億円

中堅企業

規定なし

1.5億円

卒業促進枠の補助額

卒業促進枠は、成長枠・グリーン成長枠の活用によって中小企業から中堅企業へ成長する見込みの企業を対象にした枠です。補助金の上限額は、成長枠・グリーン成長枠の規定に準ずるとされています。ただし、次に紹介する大規模賃金引上促進枠とは併用できません。

大規模賃金引上促進枠の補助額

大規模賃金引上促進枠は、成長枠・グリーン成長枠の活用によって従業員の賃金の大幅な引き上げを目指す企業を対象にした枠です。補助金の上限枠は一律で3,000万円です。ただし、上記の卒業促進枠との併用はできません。

物価高騰対策・回復再生応援枠の補助額

物価高騰対策・回復再生応援枠は、おもに小規模な企業を対象にしている枠です。補助金の上限額は従業員数によって下表のように4つに区分されています。

従業員数

補助上限額

5人以下

1,000万円

6人~20人

1,500万円

21人~50人

2,000万円

51人以上

3,000万円

最低賃金枠の補助額

最低賃金枠も、小規模な企業を対象にしている枠です。補助金の上限額は従業員数によって下表のように3つに区分されています。

従業員数

補助上限額

5人以下

1,000万円

6人~20人

1,500万円

21人以上

2,000万円

産業構造転換枠の補助額

産業構造転換枠は、現在行っている事業の国内市場が縮小してしまった場合に適した枠です。市場の縮小によって廃業を余儀なくされるケースも想定されており、廃業する際には廃業費が経費として最大2,000万円加算されます。その他の補助金の上限額は、従業員数によって下表のように規定されています。

従業員数

補助上限額

20人以下

2,000万円

21人~50人

4,000万円

51人~100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

事業再構築補助金の補助率

事業再構築補助金の補助率とは、補助金の額に対して企業が自己負担する金額の割合です。補助率が高いほど補助金が多く支払われるため、企業の自己負担額は少なくなります。補助率は、事業再構築補助金の申請枠や企業の従業員数、規模などによって変わります。

事業再構築補助金には、成長枠とグリーン成長枠において補助率を引き上げができる要件が存在します。具体的な要件としては、1つは、補助事業期間内に従業員の給与支給総額を年平均6%以上増加させること。もう1つは、補助事業期間内に事業場内の最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げることです。それぞれの申請枠における事業再構築補助金の補助率は下表のとおりです。

補助率

成長枠

 

【中小企業】1/2

 (大規模な賃上げを行う場合 2/3)

【中堅企業】1/3

 (大規模な賃上げを行う場合 1/2)

※事業終了時点で、事業場内最低賃金+45円、

給与支給総額+6%を達成すること。

グリーン成長枠

卒業促進枠

【中小企業】1/2 【中堅企業】1/3

大規模賃金引上促進枠

物価高騰対策・回復再生応援枠

【中小企業】2/3
(従業員数5人以下の場合400万円、
従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合は800万円、
従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4)

【中堅企業】1/2
(従業員数5人以下の場合400万円、
従業員数6~20人の場合600万円、
従業員数21~50人の場合は800万円、
従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3)

最低賃金枠

【中小企業】3/4 【中堅企業】2/3

産業構造転換枠

【中小企業】2/3 【中堅企業】1/2

事業再構築補助金の補助対象経費

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_5

事業再構築補助金の補助対象となる経費を把握しておくと、効果的な設備投資や新規事業の展開などが実施できます。同時に、補助対象とならない経費も把握しておくとよいでしょう。本項では事業再構築補助金の補助対象となる経費と、補助対象外の経費を紹介します。

補助対象となる経費

事業再構築補助金の補助対象となる経費は、以下の11種類です。

  1. 建物費
  2. 機械装置・システム構築費
  3. 技術導入費
  4. 専門家経費
  5. 運搬費
  6. クラウドサービス利用費
  7. 外注費
  8. 知的財産権等関連経費
  9. 広告宣伝・販売促進費
  10. 研修費
  11. 廃業費

建物費

建物費は、事業で使用する建物の建築・改修や、撤去・賃貸物件の原状回復などに使用する費用です。建物には、事務所・生産施設・加工施設・販売施設・倉庫などが該当します。事業再構築補助金の対象経費の中で、最も大きな金額を占めるケースが多いです。注意すべき点は、単に建物を購入する際の費用や、賃貸費用には適用されないことです。また、賃貸物件の原状回復費は単体では申請できない点にも注意しましょう。

機械装置・システム構築費

機械装置・システム構築費のうちの機械装置費とは、事業で使用する機械装置全般や、工具・器具の購入・制作・借用の費用です。システム構築費とは、情報システムの購入・構築・借用にかかる費用や、情報システムの改良・修繕・据付・運搬に要する費用を指します。一般的にはすべて新品が対象になりますが、3社以上から相見積りを取る場合のみ中古品も経費の対象になります。

技術導入費

技術導入費の技術とは、特許権・商標権・知的財産権などのライセンスが該当します。事業の遂行のために必要なライセンスを取得する際の費用が、技術導入費です。ライセンスの取得には書面を通じて契約しなければなりません。また、技術導入の契約に関して専門家に相談したり、代理人を依頼する際の費用は技術導入費の対象外です。

専門家経費

専門家経費とは、事業の遂行のために依頼したさまざまな専門家に支払う費用が該当します。例えば、新規サービスの導入をコンサルタントに相談したり、サービスを構築する際にエンジニアからアドバイスを受ける際などの費用です。また、専門家経費には旅費も含まれます。

ただし、専門家経費の1日分の金額は5万円までと規定されています。また、事業再構築補助金の申請時に相談する「認定経営革新等支援機関」や、事業計画書作成の外注費は専門家経費の対象外です。

運搬費

運搬費は、事業に関する物品の運搬料・宅配費用・郵便費用などが該当します。ただし、新たに購入する機械装置の送料や運搬料は、先述の機械装置・システム費の対象となる経費です。

クラウドサービス利用費

クラウドサービス利用費とは、名称のとおりクラウドサービスを利用するために必要な費用です。ただし、クラウドサービス利用費にはいくつかの制限があります。まず、利用するクラウドサービスは補助金対象の事業のみで使用するものでなければならず、他の事業と併用するクラウドサービスは対象外です。

また、クラウドサービス利用費はサーバー購入費やサーバーのレンタル料金は対象となりません。さらに、PC・タブレット・スマートフォンなどの端末費用もクラウドサービス利用費の対象外です。

外注費

外注費とは、事業を遂行するために必要な加工・設計・デザイン・検査などの一部を外注する際の費用です。外注には請負や委託などの種類があります。外注費の補助を受けるには、外注先との書面による契約締結が必要です。ただし外注費には制限があり、外注先の業者が新たな機械やシステムを購入する費用や、販売を目的とした量産品の加工を外注する際の費用は外注費の対象外です。

知的財産権等関連経費

知的財産権等関連経費とは、特許権に関する費用のことで、事業の遂行に関する新製品やサービスなどに必要となる経費です。具体的には、特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や、外国特許出願のための翻訳料などの経費などが該当します。

ただし、補助事業以外の事業に関する特許は対象になりません。また、補助事業を実施する期間内に特許の出願手続きが完了できない場合も同様に対象外となります。日本の特許庁に対する手続きに関する費用も補助の対象外です。

広告宣伝・販売促進費

広告宣伝・販売促進費とは、補助事業で開発する製品やサービスに関する広告宣伝をしたり、販売を促進する費用のことです。広告とは具体的にはパンフレットや動画、写真などを指します。宣伝とは雑誌などへの掲載や展示会への出展、セミナーの開催などです。販売促進費は、市場調査や営業代行の利用、マーケティングツールの活用費などが含まれます。

研修費

研修費とは、補助事業の遂行のために必要な教育訓練や講座の受講に必要な経費を指します。当然ながら、補助事業と無関係な教育訓練や講座の受講は対象外です。また、研修を受ける際の交通費や滞在費なども対象外となります。

廃業費

廃業費は、おもに事業の廃止手続きを行ったり、事業で使用した機器や設備などを解体する際の費用を指します。廃業費は、産業構造転換枠のみ利用可能です。

補助対象外となる経費

事業再構築補助金の補助対象外となる経費の例は、以下のとおりです。

  1. 船舶・航空機・車両・及び運搬具
  2. 構築物
  3. 一次産業
  4. 事業計画に係る費用
  5. 家賃・光熱水費等
  6. フランチャイズ加盟料
  7. ソーラーパネルや付属の蓄電池等

船舶・航空機・車両・及び運搬具

船舶・航空機・車両及び運搬具とは、具体的には自動車や走行可能な状態で使用するトレーラーハウスが代表的です。その他には、モーターボート・クルーザー・飛行機・グライダー・ヘリコプターも含まれます。船舶・航空機・車両及び運搬具がなぜ補助対象として認められないかは、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で指定されているためです。

構築物

構造物とは、駐車場・桟橋・ブロック塀・ガードレール・プールなどを指します。構造物もまた、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で指定されているため、事業再構築補助金の補助対象として認められません。

一次産業

一次産業とは、農業・林業・漁業のことを指します。サービス業に関係する一次産業の具体例は、観光農園の作物栽培や、果樹園に設置されている水耕栽培設備などがあります。一次産業はすべて事業再構築補助金の補助対象外です。

事業計画に係る費用

事業計画に係る費用には、補助対象事業に関する採算性の調査費用や、市場規模の調査費用などがあります。事業計画に係る費用はすべて事業再構築補助金の対象として認められません。

家賃・光熱水費等

家賃・光熱水費等とは、補助対象事業に関する施設の運営に必要な家賃や光熱水費のことです。また、家賃を支払う施設の契約時の保証金・敷金・仲介手数料も含まれます。家賃・光熱水費はすべて事業再構築補助金の対象外です。

フランチャイズ加盟料

フランチャイズとは、特定のブランド名を使用するために、本部と加盟店が契約を結ぶ形のことです。フランチャイズへの加盟にはフランチャイズ加盟料が発生しますが、事業再構築補助金の補助対象としては認められません。

ソーラーパネルや付属の蓄電池等

ソーラーパネルや付属の蓄電池等とは、太陽光を利用した発電設備と、発電した電力を一時的に貯める蓄電池のことです。ソーラーパネルに付属する蓄電池は、ソーラーパネルと一体の設備とみなされ、いずれの設備も事業再構築補助金の補助対象外です。

事業再構築補助金の対象となるサービス業

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_1

事業再構築補助金を申請するには、給付を受ける対象となり得る要件を満たしていなければなりません。本項では、事業再構築補助金の対象要件と、対象となるサービス業の種類を紹介します。

事業再構築補助金の対象要件

事業再構築補助金のすべての申請枠において、補助金の対象となる必須要件は、次の5つがあります。

  1. 事業計画について認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
  2. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加の達成。
  3. コロナ禍の影響によって売上が減少していること。
  4. 新分野展開、業態転換、事業・業種転換等、指針に示す「事業再構築」を行うこと。
  5. 認定経営革新等支援機関(国の認定を受けた中小企業診断士、金融機関等)と事業計画を策定すること。

その他の要件は各申請枠ごとに規定があり、成長枠とグリーン成長枠の要件は以下のとおりです。

成長枠の要件

成長枠の要件は、上記の必須要件を満たしたうえで以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること。
  2. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。

グリーン成長枠(エントリー枠)の要件

グリーン成長枠の要件は、エントリー枠とスタンダード枠で異なります。いずれも必須要件を満たしたうえでグリーン成長枠の要件も満たさなくてはなりません。

  1. グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、 その取組に関連する1年以上の研究開発・技術開発又は従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行う。
  2. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。 

グリーン成長枠(スタンダード枠)の要件

スタンダード枠は、研究・技術開発と人材育成についてエントリー枠よりも厳しい要件が設定されています。

  1. グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組として記載があるものに該当し、 その取組に関連する2年以上の研究開発・技術開発又は従業員の10%以上に対する年間20時間以上の人材育成をあわせて行う。
  2. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること。

事業再構築補助金の対象となるサービス業の種類

本項では、実際に事業再構築補助金の申請に採択されたサービス業の事例を紹介します。

専門・技術サービス業

近年、特に増えているのがIT関連サービス業に対する採択です。京都府京都市で広告業を営む株式会社アドインテは、オンラインマーケティングおよび流通小売DXの支援事業で申請に採択されています。モバイル向けデジタルマーケティングを専業としており、特許を取得している通信モジュールを活用して顧客の行動を予測できるシステムを開発しました。取得したデータに基づいた広告配信と販売促進サービスを提供しています。

飲食サービス業

飲食に関連したサービス業への採択事例も数多く存在しています。1つは、鮮魚卸売市場に併設されていた鮮魚食堂を、回転寿司店に改装して事業を開始した事例です。テナントの撤退により、不動産賃貸業から飲食業へと事業転換しました。もう1つの事例は、逆に飲食店から小売業へ事業転換した企業があります。コロナ禍によって来店客が激減したため、宅配やテイクアウト方式を専業とするスタイルに転換しました。

娯楽業

サービス業にはさまざまな形式がありますが、物品賃貸業から娯楽施設業へ事業転換した異色の事例もあります。茨城県つくば市の有限会社茨城リースでは、建設機械のレンタル業を営んでいました。しかし新型コロナウイルスの影響を受けて顧客離れが加速し、経営が行き詰ってしまいます。空いた土地を有効活用するために事業再構築補助金を申請し、ドッグランを併設したグランピング施設を建設しました。

中小企業と中堅企業

中小企業と中堅企業は事業再構築補助金の申請対象になります。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、当面の需要や売上の回復が難しい状況です。企業にはウィズコロナ・ポストコロナの時代への対応が求められています。中小企業と中堅企業では特に、新分野展開や業態転換といった新市場への進出をはじめ、事業や業種の転換、事業の再編などが有効です。

事業再構築補助金のサービス業での採択事例

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_7

本項では、事業再構築補助金の公式サイトで公開されているサービス業の採択事例を紹介します。

株式会社レバンガ北海道

プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の運営と、スポーツ教室やイベントの企画運営などを行っている株式会社レバンガ北海道の採択事例です。元々はリーグトップクラスの平均観客動員数を記録していました。しかし、新型コロナウイルスの影響で入場制限がかかったり、声を出す応援の規制や選手との接触の禁止などによって観客数が激減。グッズ類の売上も現象し、ファン離れが深刻な状況でした。

レバンガ北海道では売上の回復を目指して事業再構築補助金を活用し、映像制作・機材レンタル事業へと事業転換を決断。デジタル映像技術のノウハウを所持していたため、試合会場内で流す広告映像や、イベントをPRする映像の制作を試みました。申請が採択されたため補助金を活用するとともに、事業転換が多くのスポンサーの支持を得られたため、事業の回復が期待できる状況です。

沖縄ツーリスト株式会社

次は、旅行事業・レンタカー事業・保険販売事業を営む沖縄ツーリスト株式会社の採択事例です。旅行事業は新型コロナウイルスの影響を最も大きく受けた業種の1つですが、実際に売上が8割も減少してしまいました。事業の縮小を実施して何とか企業を存続していましたが、さらに存続するためには事業転換が必要と判断し、事業再構築補助金の活用を決断しました。

沖縄ツーリストでは、従来の観光業のスタイルでは企業の存続が難しいと判断し、独自の地域主導型観光ビジネスモデルの構築を発案。地域に持つネットワークをフル活用して、旅行に関する全てのサービスを提供できるワンストップサービスを開始しました。航空券・宿泊・レンタカー・観光コンテンツを観光客が自由にカスタマイズできるシステムによって、事業再構築補助金の採択を実現しています。

有限会社西部トラベル

富山県富山市の旅行業者である有限会社西部トラベルの採択事例を紹介します。従業員数4人という小さな企業で、団体の観光客をおもな顧客としており、オリジナルの国内旅行ツアーの販売が好評でした。しかし新型コロナウイルスの影響で団体の観光客が9割も減少するという危機的な状況に陥ります。企業の存続を図るために、まさに最終手段としての事業再構築補助金の活用となりました。

西部トラベルが事業再構築補助金の採択を目指してアピールしたポイントは、オンラインを活用することと、ビジュアル性の高い地域イベントです。事業転換の基幹として導入したシステムは、地域の祭りオンラインツアーという画期的なものでした。まずは富山県内の祭りの中でも全国的な知名度が高い「おわら風の盆」をオンラインツアーとして編成。補助金を活用して映像配信機器を購入し、売上の増加を見込んでいます。

サービス業で採択されるためのポイント

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_3

本項では、サービス業で事業再構築補助金の申請が採択されるためのポイントを解説します。

既存事業とのシナジー効果があるか

事業再構築補助金の申請が採択されるためのポイントの1つとして、既存事業とのシナジー効果があるかどうかという点が挙げられます。つまり、新規事業を開始することによって、既存事業にも好影響が表れることがポイントです。新規事業単独で売上アップを望むのではなく、企業全体の利益につながるような取り組みを進めれば、売上目標達成の確率を高められます。

独自性があるか

事業再構築補助金の申請が採択されやすい傾向にあるのは、独自性の高い事業です。製品やサービスの新規性が高いほど、申請が採択されやすい傾向にあります。過去に運営したことがない事業や、既存事業と新規事業の顧客層が異なることなどもポイントです。

物価高騰対策・回復再生応援枠を利用する

事業再構築補助金では、第10回の申請から新たに物価高騰対策・回復再生応援枠が加わりました。新型コロナウイルスの影響や物価高騰などによって、厳しい経営状況が続いている企業を支援する目的の枠です。国内経済の活性化のために、高い採択率が予想されています。

事業再構築補助金の申請の流れ

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_6

本項では、事業再構築補助金の申請の流れを解説します。

事業再構築補助金公募スケジュールの確認

事業再構築補助金の申請にあたって、最初に行うべきは公募スケジュールの確認です。公募スケジュールは、事業再構築補助金の公式サイトで確認できます。事業再構築補助金の事務局からのお知らせを定期的にチェックして、最新の情報を見逃さないようにしましょう。

申請書類の提出

事業再構築補助金の申請に必要な書類は、おもに次の6点です。

  1. 事業計画書
  2. 認定支援機関の確認書(補助金3,000万円以上の場合は金融機関の確認書も必要)
  3. 売上高減少に関する書類
  4. 決算書
  5. ミラサポplus「電子申請サポート」の事業財務情報
  6. 従業員数を示す書類

申請書類の中心となる事業計画書は、作成にあたって認定支援機関への相談や、作成を外部機関に依頼するケースもあります。スケジュールを確認し、早めに準備しましょう。また、必要な書類は申請年度ごとに変化する場合もあるので、事業再構築補助金の公式サイトで定期的に最新情報をチェックして下さい。

申請方法

事業再構築補助金の応募申請は、電子申請システムによってのみ受け付けており、郵送などによる申請はできません。申請時には事業計画書など先述の書類を提出します。申請時には、必要書類の不備がないかを十分に確認しましょう。せっかく事業計画書が完成していても、書類の不備により採択されないケースが増えています。

採択後の手続き

事業再構築補助金の申請が採択された後には、申請対象となる事業を遂行します。事業再構築補助金は後払い制なので、申請が採択されただけでは給付されません。事業の遂行中に事務局から指示があった場合は、進捗を報告するための状況報告書を提出します。

申請対象の事業が完了した際には、実績報告書や事業が完了したことを証明する書類の提出が必要です。報告と手続きが完了すると、のちに補助金確定通知書が送付されるので、事業者から補助金精算払請求書によって補助金を請求できます。請求書類に不備がないことが確認されれば、8営業日程度で事業者の口座へ補助金が振り込まれます。

事業再構築補助金の申請書作成のポイント

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_8

事業計画は合理的で説得力のある内容を心がける

事業再構築補助金は、昨今の厳しい経済環境の変化の中で中小企業が生き残れるように支援する制度です。企業側には、ウィズコロナ・ポストコロナ時代に対応できるような新分野展開・業態転換・業種転換などの思い切った挑戦が求められます。結果的に、合理的で説得力な印象を与え、申請が採択される可能性が高くなるでしょう。

認定経営革新等支援機関や金融機関に相談

事業計画書の書き方については、特に明確な決まりはありません。ただし、事業計画は認定経営革新等支援機関と相談しながら策定することが必須要件です。また、3,000万円以上の給付を受ける場合は、金融機関の確認も必要です。

明確な数値目標を設定する

申請が採択されやすい事業計画書を作成するためには、明確な数値目標を設定することがアピールポイントになります。売上比率の向上や、従業員の賃金上昇などの数値目標を具体的に設定するとよいでしょう。

サービス業が利用可能な補助金

事業再構築補助金はサービス業でも受け取れる!方法と採択事例を解説_2

本項では、サービス業で利用可能な補助金を紹介します。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した中小企業などを支援することがおもな目的の制度です。サービス業でも利用可能なので、十分に活用しましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者がものづくりに関する設備投資や人材育成などを行う際に、国から一定の補助を受けられる制度です。ものづくり補助金は、日本のものづくり産業の競争力を高めるとともに、地域経済の活性化や雇用の創出に貢献することにあります。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援するための補助金制度です。ITツールの導入による生産性の向上や業務効率化、売上アップを目的としています。PCやタブレット端末などを導入する際には活用できる可能性があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、日本商工会議所または全国商工会連合会の支援を受けられる制度です。経営計画書を作成し、その計画に沿って事業に取り組むと、最大で50万円の補助金を受け取れます。小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の販路開拓や業務効率化にかかる諸経費の一部を補助することで、持続的な経営に向けた支援を行うことを目的としています。

【まとめ】サービス業の事業再構築補助金について紹介しました

事業再構築補助金の申請をサービス業で行う際のおもなポイントは、事業計画の策定・新規性の高い事業転換・新着情報のチェックの3点です。特に、事業転換をする際にはオリジナル性の高い新規事業を選択すると申請が採択されやすくなります。事業計画の策定も重要で、事業再構築補助金の公式サイトで公開されている事例が参考になるでしょう。事業再構築補助金を有効に活用して、業績の回復につなげて下さい。